Track8. 炎
戦闘時の炎。やはりこれがなくてはタイトルと言えない!序盤からバンジョーの響きが熱い。ギター・ベース音も激しく、静かに込み上げてくる感情。これがヒヲウの、炎の心といったところ。バンジョーを多用した激しくも爽快で、でもそこはかとなく繊細な情感もたっぷりな名曲です。
ここはやはり、1話が一番印象に残ります。リアタイ時からやはり大好きでたまりません。村を襲撃する風陣の目を引き付けるために飛んだマユ。そんな姉を助けるため、約束の炎を動かすことに四苦八苦するヒヲウ。シーボルトの懐中時計をはめ込んだ時、炎は動き出した。
「走れ、走れ、走れ・・・」「やった!」「待て!どうやってここから出す!?」「知るか、そんなこと!走れ、炎!!!」
過酷な旅のはじまりにして、神体だった炎の、目覚めの瞬間。諦めかけたマユの目の前に現れた炎。向かってダイブするマユを、全力で抱きとめるヒヲウ。あぁもう、なんていうか、情熱と優しさ、思いやりすら感じて、大好きです!!!
Track9. 風陣
序盤のエレキから徐々に発せられる不穏な響き。敵である風陣らしいテーマと言えるのではなかろうか。物語後半パートだと大人たちの思想による怪しいアクションやら陰謀等に使われてることが多い。若干ロック調ですが、Track6よりも少し抑えめなところも特徴。
3話。原田の敵討ちの意に感化され、捕らえたロクゾウに母・シノの敵を討ちたいと突撃するシシ。シシの叫びが空しいけども、シンパシーを感じるのは無理もない。マユの「何をしてるの!これはからくりのための道具よ!」の穏やかな静止にも耳を貸せないのも頷ける。兄姉弟全員揃ってるヒヲウ達に気持ちが汲めないわけではないが、ここまで追い込まれるまでの心理にはさすがに至らないだろう。
敵を討ったところで何も変わらないと諭す才谷。武士の心のままに復讐を促す原田。原田の切腹の傷跡を目にしても「いったそ!わしぁ、痛いのは嫌いだ」と言いのける。人殺しと復讐は、後のストーリーにも重要な要素である事が、ある意味示唆されている。
Track10. 襲撃
これは戦の前触れ・予期せぬ事態によく使われる。カラカラ、カラカラ…という不穏な響きからの、バンジョーのジャンジャラララ、ジャンジャラララ…の旋律、エレキの不協和音的な音色が却って危うさをより一層強調されます。Track8.がその後の逆転なら、こちらはあまりいい状況でない時で、びくっとさせられます。
17話。物語後半の主な舞台は海沿い。ヒヲウといえば、幕末の動乱期なのもあり、海が舞台なんですね。印象的には山よりも強い。
新月藩と手を組んだ風陣と遭遇し、襲撃を受けるヒヲウ一行。そんな最中、アラシもクロガネの命令によるアカの攻撃に遭い、その際にヒヲウに正体がばれてしまう。ヒヲウにとってはライバルであり友達、友達になりたいライバル。お互いの会話こそかみ合ってないが、ヒヲウのアラシに対する思いやりは変わらない。それを裏付ける過去があってもなくても、恐らく同じであろう。
このふたり、からくりが好きだという部分が共通してる一方、この時点で決定的に違うのは、からくりは何のために好きであるか。ヒヲウはからくりは無限の可能性を秘めてる事が、純粋に楽しい。アラシは自分の立場からの過去故の、戦のために用いるという、双方の食い違いが切ないところが垣間見える。
他にも相違はあるのですが、それはまた他のTrackにて語ります。
Track11. 蒸気機巧
ロック調のサントラの中でも、不穏な空気の中に、タイトルの通り蒸気音イメージの音楽もところどころにあります。
個人的な印象として、風陣が忍者イメージなのもあり、まるで忍者が現れたかのようなドロンとした曲調。SLの蒸気音とも違う、独特なリズム。カッコいいけどいろいろと混沌としたイメージです。
使用シーンは2話。蓬莱寺村へ戻ったシシとマチ。焼け野原となった蓬莱寺村に呆然とする中、風陣と出くわす。おそらく風陣の化けた姿であろうが、アカの向こうには連れ去られる村の人達がいる。リアタイ時は釈然としてなかったけど、シシの「母ちゃん!」の一声に元気な彼の子供故の繊細さが伺える。マチも気丈に振る舞うも、心情的にはシシと同じであるからこそここでは彼と行動を共にしたのであろう。
その直後の悲愴な顛末を考えると、やはり風陣許すまじとなります。大人でも辛いのに、ましてまだ子供。突然にして村を襲われ、家族を殺されるというのは、あまりにも残酷で哀しすぎるストーリーです…
Track12. 灰色の卿
時代の荒波故の、人情味あふれる情感たっぷりの曲。エレキとバンジョーの協奏からはじまってるかな。バンジョーの旋律は使用シーンの心理を物語ってるようで非常に印象深い。対してエレキの音色は無情な情景を想起させている。全体的に力強く、そしてどこか物悲しく、じんわりと刺さってくる…。
26話。とうとう近江屋事件です。謎のからくりの襲撃によってとどめを刺された直後、ヒヲウとシシが出生祝いに駆けつけた時にはすでに遅し。
命尽きる前の、坂本のヒヲウへの最期の言葉。「人殺しはいかん」「あったりまえだろ、そんなこと!オレは人殺しなんか大嫌いだよ!」「お前の言うとおりだ、わしが死ぬのは」「いいわけないだろ…」何より人が死ぬことを嫌うヒヲウにとって、争いや人殺しはどんな理由があっても許せない。ましてや坂本はヒヲウ達にとって最大の理解者。その命が無残にも奪われるというのは今の時勢は当たり前であっても良しと出来るわけもない。世の無常に対する憤り・哀しみを感じずにはいられない。
最期の時もヒヲウ達への気遣いがとても泣ける。江戸へ嫁ぐマユへの祝言祝い、そして「炎は再び舞わねばならない」とヒヲウに託したもの。うぅ…坂、いや才谷…泣かせる…。
Track13. ウィンディ・デイ
優しくて穏やか、タイトルの通り風のような安息と平穏をイメージさせる一曲。ピアノの伴奏がセンチメンタルな印象で、エレキもここでは沁みる響き。リラックスというか、心身にも優しい旋律が心地いい。機の民ってこういう原風景のような世界で生きたいのかもなぁと思わせますね。後半から加わるブルースハープにも、じんわりと来るものがあります。
9話。過去にマスラヲが送ってきた最後の便りを手がかりに、マスラヲに会えるかもしれないと飛騨高山へようやくたどり着く。しかし、マスラヲはすでに去っており、がっかりするヒヲウ一行。マスラヲに頼らず自分達で生きていく道を提案する才谷。落胆する中で、自分達の出すべき答え・生きていく道とは…。
からくり師・マスラヲに会ってどうにかしてもらうから旅をするのではなく、純粋に父ちゃんであるマスラヲに会いたいから…というのが伝わるのがこのストーリー。炎の新たな力を知った時、からくりの無限の可能性を見出したヒヲウと、その驚異的な力に触発されて自分の手でからくりを作りたくなったアラシの対比も見どころだと思ってます。
ところで、えれきてるはどこぞで手に入れたんでしょうかね?多分マスラヲかな?1話のマユの台詞「炎は父ちゃんにも動かせなかったのよ」で…ヒヲウと同じく、炎を動かそうとしてたのは間違いないだろうからなぁ。
Track14. シャムロック・ショア
ジャンル屈指の美しい曲。序盤の弦楽器から細やかでノスタルジックなつくり。でも終盤にかけてのクオリティは壮大。ゆったりとした旋律の変化がとても好きです。さまざまな楽器を多用し、繊細ながらもどこか晴れやか。心象風景という言葉がマッチしてます。
8話の雪の森の中で、マチの繊細な心情と舞い姿が美しく、儚さをもはらんでいてとても好きです。マントを翻し、月明かりに照らされながら、自身のからくり人形に合わせて優しく舞う。
数少ない女子回ならではの演出かと思われます。人形が止まると同時に月明かりも消え、「ふぅ…」と一息をつく複雑な表情、何とも言えない。
華との生育の違いからくる隔たり、戸惑い、葛藤。常日頃は年齢以上に強くてしっかり者な彼女の、垣間見える少女らしい心理に心を打たれます。打ち解けるだろうと思っていた華との間の溝・隔たりは予想以上に大きな壁だと突き付けられた現実。
その直後の難において、武家の生き方にわりきれない・正しさが通らないというさらなる過酷な現実。それでも見捨てることはできない、ゆるぎないマチの優しさが見える大好きな回です。華もきっと、彼女の思いと浮かべた涙に響くものがあったはず。

















